目次
はじめに
近年、注文住宅の中でも平屋が注目を集めています。平屋とは二階、三階などの上階がない、一階建ての住宅です。
国土交通省が発表している建築・着工統計調査によると、2013年は平屋建築件数は36,551軒でしたが、2023年では57,848軒に増加。一方、二階建てを見ると2013年の築件数は424,511軒でしたが、2023年では285,557軒に減っており、実際に人気を集めていることがわかります。
これから注文住宅を建てたいと考えている方の中にも、平屋を検討されている方がいらっしゃることでしょう。そこでこのコラムでは、平屋のメリットとデメリットについて解説していきたいと思います。
また、熊本の土地情報についてもふれていきますので、ご参考にしていただけたら幸いです。
平屋のメリット

ここからは早速、平屋の持つ魅力について紹介していきます。
・間取りの自由度が高い
平屋は2階以上のフロアがないので、上階の重量を支える必要がありません。これが間取りにどう影響するかというと、間仕切りの位置を自由に動かしやすくなり、二階建てよりも間取りの自由度が高くなるというメリットが生まれます。
また、階段も必要ないのでその分無駄がなく、生活スタイルに合わせた間取りを比較的自由に作りやすい点がメリットといえるでしょう。
・ワンフロアで家事動線がシンプル
平屋は1階と2階を行き来する必要がないので、生活動線・家事動線をより効率的にすることができるという良さがあります。特に家族それぞれの部屋の掃除や、洗う・干す・しまうという複数の工程がある洗濯の際に、動線のよさを実感できるでしょう。
また、1階だけで生活できるということは足腰への負担が少ないことでもあるため、老後も快適に暮らせる点もメリットのひとつ。バリアフリーとの親和性が高いといえます。
・間取り的に家族のコミュニケーションが取りやすい
平屋はリビングを中心に居室を配置する間取りをつくりやすいため、家族が各自の部屋にいてもお互いの様子が自然と分かり、家族間のコミュニケ―ションを取りやすいのも大きな魅力です。別室にいてもドアの音や気配を感じられるので、安心感を感じやすい点も精神的なメリットの一つでしょう。
玄関から子ども部屋へ行く際にあえてリビングを通る間取りにして、お子さんが難しい年齢にあたる時期も家族が顔を合わせやすい生活を作ることもできます。
・地震や台風に強い
地震が起こると、建物は高いほど揺れの影響が大きくなります。平屋は高さが低い上に二階の荷重がかからないため、建物にかかる地震荷重が少なく構造的に安定しており、地震の影響を受けにくいのです。台風などの強風でも、高さが低い方が風の影響を受けにくくなります。
また、突然の地震や火災の時、窓やドアから外へ避難しやすい点もメリットのひとつといえるでしょう。
・メンテナンス費用を抑えられる
注文住宅は、建てた後も定期的にメンテナンスが必要になります。特に費用が大きい屋根や外壁の塗装は、劣化した外観の改善だけでなく、防水性を高めて建物内部の躯体を守る重要な意味があります。平屋はメンテナンスの時に屋根や外壁のメンテナンスで2階建てのように大がかりな足場が必要ないことと、外壁の面積が少ないことから、かかる費用を抑えることができます。
また、水回りがワンフロアにまとまっているため水回りの配管メンテナンスでも費用を抑えることができます。
・冷暖房の効率が良い
平屋は全ての部屋がワンフロアに収まっているため、2階建てと比べて冷暖房の効率が良くなります。高断熱・高気密の住宅であればなおのことで、より少ない光熱費でも快適に暮らせるでしょう。
また、平屋は2階建てと比べて屋根が大きくなりますので、太陽光パネルを設置しやすいという特徴もあります。この場合は太陽光で家庭の電気をまかなうことで、光熱費を大きく節約するだけでなく、余った電力を電力会社に売って売電収入を得たり、災害時の電力として蓄えたりすることもできるようになります。
平屋のデメリット
・2階建てと比べると広い土地が必要
平屋はすべての部屋を一階部分に収めるため、広い敷地を探す必要があります。中心部など土地が高い地域ですと費用が高額になり、予算オーバーになってしまうこともあります。
できるだけ費用を抑えて効率よく平屋を建てるためには、地域ごとの土地の価格帯や建ぺい率を意識して敷地を選ぶことが重要です。建ぺい率とは敷地に対して、1階部分をどれくらいの広さで建てられるのかを示した決まりで、地域ごとに上限が定められています。
また、土地は広くなるほど固定資産税が高額になりますので、こちらも考慮して土地を選ぶことが肝心です。
・建築費用が割高になりやすい
平屋は基礎や屋根、壁の面積が大きいため、坪単価が1~2割ほど高くなる傾向があります。
コストを抑えるための対策として、できるだけ凹凸をなくしてシンプルな建物形状にすることをおすすめします。
また、導入する設備の優先順位をはっきりさせて、優先順位がより低い部分のグレードを落とすと建築費用を抑えられます。無駄な動線や部屋を減らし、延べ床面積を最小限にすることも建築費用を抑えるコツです。
・周囲の状況によっては採光がとりにくい場合がある
平屋は建物の高さが低いため、周囲の建物や樹木に光を遮られやすく、暗くなってしまう可能性があります。特に、家の中心部は外に面する面が少ないため、日当たりが悪くなりやすくなります。
そのため、窓の配置や大きさを考えたり、吹き抜けを活用するなど、工夫して日当たりや通風を取り入れる必要があるでしょう。
また、平屋のメリットの中で、「冷暖房の効率」の項目でも述べましたが、平屋は通常2階建てよりも屋根が広く太陽光パネルを設置しやすい場合が多いです。ただし、周囲の環境によっては思うように日光が入らず、せっかくパネルを設置したにもかかわらず発電効率が悪いという場合も考えられます。太陽光パネルを設置する際は、施工会社と相談し、取付位置や角度をしっかりと調整するようにしましょう。
・プライバシーや防犯への配慮が必要
居住スペースが全て1階の平屋は、比較的道路や周囲の建物から見えやすくなります。プライバシーを確保するために、視線を遮るような家の配置や構造、窓の位置やサイズなどを工夫するとよいでしょう。
また、プライバシー確保のために視線を遮る構造にすると、不審者の侵入が周囲から見えづらくなることに繋がるという側面があります。
そのため、具体的な防犯対策としてセンサー付きライトを設置したり、音が鳴る砂利を敷く、窓を防犯ガラスにする、二重鍵を取り付けるなど、不審者が侵入しづらくすることも大切です。
・水害時に浸水被害を受けやすい
日本では毎年各地で水害が発生しており、熊本も例外ではありません。平屋は二階建てのように垂直避難ができず、一階部分が水浸しになってしまうと逃げ場がないので、水害時に浸水被害を受けるリスクが高まります。
浸水被害を回避するためには、土地探しの段階で浸水想定区域を避けるようにしましょう。浸水想定区域は、国土交通省のハザードマップポータルサイトや自治体のホームページなどで確認できます。川から近い場所や低い土地は水害時に水が流れ込みやすいため要注意です。ハザードマップは不動産売買契約の際、重要事項説明で説明することが義務付けられていますが、その前に必ず確認して把握しておきましょう。
出典:熊本市ハザードマップ
熊本市区の土地価格
先述したように、平屋は広い敷地が必要なため、土地が高いエリアですと費用が高額になり、予算オーバーしてしまうこともあります。
そこで、熊本市区の土地の平均坪単価も押さえておきましょう。
・熊本市中央区 41万円/坪
・熊本市南区 14万円/坪
・熊本市西区 14万円/坪
・熊本市東区 25万円/坪
・熊本市北区 15.4万円/坪
このように、南区、西区、北区が熊本市の中では平均坪単価が低くなっています。熊本市で平屋を建てたいという方には、おすすめといえるのではないでしょうか。
参考コラム:熊本県の土地相場は?今後の推移や注文住宅を建てる際の土地探しのコツも紹介
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事の内容も参考にしていただき、ぜひご自身のライフスタイルに合った平屋ライフを実現していただきたいと思います