熊本で暮らしていくにあたって、地震や水害のリスクも気になりますよね。これから家を建てるなら、家族みんなが安心して暮らせる住まいにしたい。
このコラムでは、熊本で考えられる災害のリスクと、注文住宅でできる備えを分かりやすく解説します。地震に強い家、水害に負けない工夫など、あなたの家づくりに役立つ情報をお届けしますので、ぜひ読んでみてください。
熊本県の水害や地震の危険性とは?

熊本県は九州の中央に位置しています。
九州山地に海からの温かい湿った空気が当たり、それによって発生した上昇気流で局地的な大雨になると、水が白川や緑川などに流れ込むので河川の氾濫が起こりやすくなります。2020年7月には、広範囲に長時間降り続けた雨が熊本県南部の球磨川に流れ込み、非常に大きな被害をもたらしました。
また、台風の通り道にもなりやすいことから、水害による被害を比較的受けやすい地域ともいえるでしょう。
海もありますので、沿岸部では高潮や津波にも注意が必要です。
それでは、熊本県で注文住宅を建てる場合の地震のリスクについて考えてみましょう。
熊本県では、阿蘇から熊本市周辺で別府−島原地溝帯やその縁を走る布田川(ふたがわ)断層周辺の被害地震がよくおこることが知られています。2016 年に大地震が起きてたくさんの被害が生じたのは布田川・日奈久(ふたがわ・ひなぐ)断層の北部です。
ただし、断層の南側部分はずれ動かず断層が破壊されなかったため、地震の危険性が依然として高いとされています。地震への備えは必要性が高そうです。
なお、この日奈久断層は過去を振り返ると八代~水俣付近で被害地震が多く発生しています。
出典:・微動探査 熊本県の地形・災害と地震
出典:・地震本部 熊本県の地震活動の特徴
熊本県で考えておくべき水害の種類とは?
- 水害の種類1.内水氾濫
- 水害の種類2.洪水(外水氾濫)
- 水害の種類3.高潮
- 水害の種類4.津波
熊本県にて発生する可能性の高い水害の種類をいくつかご紹介いたします。
内水氾濫
内水氾濫は都市部や農地などで、排水機能が不足することで雨水が地表にたまり、浸水被害をもたらす現象のことです。
長時間雨が降り、下水道や排水ポンプなどの排水施設の能力を超えてしまうと、道路や住宅などが浸水してしまいます。都市部の低地や排水施設の整備が不十分な地域で起こりやすく、浸水がしばらく続くこともあります。
内水氾濫が起きやすいのは昔湿地だったところや後背低地、低い土地などです。土地が低いエリアや河川の沿岸地域は注意しておいたほうがよいでしょう。
洪水(外水氾濫)
洪水は河川などの水が堤防を越えたり、決壊したりして流れ出すことで発生する氾濫のことです。洪水の原因としては大雨や台風による河川の増水、堤防の決壊などがあり、洪水が起きやすい平野部や低地に広範囲の被害を及ぼすことが多いのが特徴です。
洪水は上流部での豪雨が下流に影響を与えることも多く、実際熊本市の周辺では過去に河川上流の阿蘇での降水が洪水を引き起こすタイプの洪水も数回起きています。
また、近年では2020年7月に熊本県の南部で起きた球磨川の氾濫でも非常に大きな被害を出しました。
注文住宅を建てようとしている市町村のハザードマップは、ぜひ一度ご確認いただきたいと思います。
高潮
高潮は、台風や発達した低気圧などに伴って、気圧が下がり海面が上昇する作用と強風により海水が海岸に吹き寄せられる作用のせいで、海面が異常に上がってしまう現象です。熊本県では、海に面した長洲町・玉名市・熊本市・宇土市・宇城市・氷川町・八代市など広い範囲で3m以上の高潮の可能性が示唆されています。
津波
熊本県は海に面していることから、長洲町・水俣市の一部で1m未満、津奈木町の一部で2m未満、玉名市・熊本市・宇土市・宇城市・上天草市の一部・天草市の一部・苓北町の一部・氷川町・八代市・芦北町の一部では5m未満の津波の可能性が示唆されています。
熊本県の注文住宅でできる水害対策

押さえておくとよいポイントをいくつかご紹介しましょう。
水害に備え高さが上がっている土地を選ぶ
これは土地探しがまだという段階ではとても有効です。
もし河川から距離があっても、土地が低ければ上記の熊本県で考えておくべき水害の種類とは?で述べた水害が起きる可能性が増えます。「盛り土」という方法で土地の高さを上げる方法もありますが、これは盛り土そのものの施工費用のほか地盤補強費用も高額になる、盛り土を行うことで周囲の排水状況が悪化するケースがある、地震のさい崩れるかもしれないというリスクもあります。
以上のことから、盛り土を導入するさいは、メリットとデメリットをよく検討しておくとよいでしょう。
水害に備え河川や海から離れた土地を選ぶ
これも土地選びがまだという段階ではとても有効ですね。
台風や集中豪雨による洪水の被害を受けるのはやはり海や河川のそばにある住宅が多いので、海・河川から離れている場所を選んで家を建てると水害からの安心感が増します。高さが十分な堤防が作られている地域であれば氾濫の被害を受ける可能性は低くなると思いますが、中には近年の集中豪雨で堤防が決壊したケースもありますので注意が必要です
ハザードマップで水害のリスクを確認する
これはどのような土地を選んだ場合にも共通して大切なことかもしれませんが、熊本県の各市町村が公開しているハザードマップを確認することもおすすめです。
こちらを確認しておくと、自分が建てる注文住宅はどの程度水害のリスクがある場所にあるのかを事前に確認しておくことができます。
水害に備え注文住宅の基礎を高くする
高基礎にすると水害時に床下への浸水を防ぐことができるので、注文住宅が水害に強くなります。過去に浸水被害を受けた場所では、この対策は有効です。
水害に備え注文住宅の外壁に防水性の高い材料を用いる
耐水性が高い素材を使用することで、建物内部への水の侵入を防ぐのに役立ちます
万一の水害時に生活ができるように注文住宅をつくる
例えば2階建てにしておいて、水害時に避難できないようなときは2階で生活できるようにしておくというのもその一つです。せっかく注文住宅を建てるのですから、もしもの場合のアイデアをさりげなく盛り込んでみるのもよいかもしれません。
注文住宅の水害対策は火災保険に頼ってみるのも一つの手
火災保険によっては、特約で水災補償を付けられることがあります。水災害で補償を受けられるのは、台風や暴風雨による洪水と土砂崩れ・地滑り、河川の氾濫、そして高潮や津波です。補償の対象は基本的には建物となり、家財補償を付ければ家具や家電、衣類なども補償されます。
水災補償があれば、洪水で床上浸水した場合なども畳・床の張り替えを補償でカバーできますので、水害の多い地域に注文住宅を建てるのでしたら、火災保険に水災補償を付けておくのもおすすめですよ。
熊本県に注文住宅を建てたい!耐震のための対策はどうする?

ずばり、耐震等級3の注文住宅を建てるのがとても有効です。
2回の震度7、5回の震度6とその他数々の余震を受けた熊本地震でも、耐震等級3の住宅は 倒壊したものがなかったというデータが残っています。
これは地震とお付き合いしていかなくてはならない日本人にとって、心強い味方です。
では、耐震等級とはどんなものでしょうか?
耐震等級は耐震性を表している等級で1~3まであり、3が最高水準です。
建物の強さの指標として見られることも多いです。
次に、耐震等級の等級それぞれの概要をざっくりと見ていきましょう。
耐震等級1
建築基準法で許可された最低限の耐震等級です。
耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の耐震強度があります。避難所は最低でも耐震等級2以上でなければなりません。震度7の地震が1回なら耐えられるが、2回来ると倒壊するかもしれない強度です。
耐震等級3
耐震等級1の1.5倍の耐震強度があります。
災害時に拠点となる消防や警察の建物は基本的に耐震等級3が多いです。
熊本県の注文住宅でも地震保険は強い味方!
しかも、建てた注文住宅が耐震等級3であれば、地震保険の保険料は半分になります。
ただし、「耐震等級3相当」とは違うという点には注意しましょう。「耐震等級3相当」とは耐震等級3と同等の強さではあるが、正式な認定を受けていないものとなります。
以上、熊本県で注文住宅を検討していると気になる水害と耐震についてまとめてみました。
少しでもお役に立てたら幸いです!