熊本市は九州の中央にあって、国内に20ある政令指定都市のひとつ。人口は九州で3番めです。ランドマークともいえる熊本城の東側に広がる繁華街は九州では有数の賑やかさ。九州新幹線の停車駅もありますし、地の利もあって九州各県へのアクセスがよい場所です。そんな都市らしい側面がありながら、実は上水道は100%地下水を利用。これは人口50万人以上の都市では世界でも唯一ということです。この地下水は阿蘇からの伏流水がもとになっており、清らかな水が豊富に湧き出る「水の都」といわれることもあります。都市ならではの充実した機能を享受しつつ、週末や休日には自然の中でゆったりと過ごすことができる自然環境があるところが魅力といえるでしょう。
しかし一方で、九州の中で3番目に人口が多いという点や、繁華街がにぎやかであるなどの理由からなのか、実際の治安はどうなのかと疑問に思う方も多いようです。
このコラムでは、実際のところはどうなのか、警察のデータなどを参考にしながら、熊本市内の治安が良い地域や気を付けるべき地域、防犯対策について見ていきたいと思います。
目次
熊本市の治安は悪いのか?
熊本市の刑法犯認知件数は、2004(平成16)年以降続けて減少しています。市内5つの区ごとに見てみると、中心部の繁華街がある中央区が一番多く、次に人口の多い東区が続く形になっています。 2023(令和5)年の犯罪率(1,000人あたりの刑法犯罪認知件数)は、中央区が7.6人、西区が4.1人、東区が3.5人、南区が3.3人、北区が2.6人となっており、熊本市全体では4.4人です。
また、2023年(令和5)のデータをみると、他の政令指定都市に比べても犯罪率が非常に低く(低い方から二番目)、安心して暮らすことができるでしょう。
参考:綜合警備保障
参考:熊本県警察犯罪マップ
熊本市の中でも治安が良い地域

ここまでで、熊本市は非常に治安が良いところだということがわかりました。
ここからは、そのなかでも治安が良いとされる場所について説明していきたいと思います。
・北区
熊本市の中でも、北区は犯罪発生件数が少ないエリアです。
北区は、広大な面積と自然環境の豊かさ、そして都市機能とのバランスが図られているのが特徴です。区の南部は計画的に開発された住宅地が広がり、区北部では農業が盛んに行われているなど、多様な土地利用がみられます。また、八景水谷水源や立田山など、豊かな自然が近くに存在することも魅力の一つです。
・南区
南区も犯罪発生件数が少ないエリアです。
南区は有明海に面し、熊本市の中心街でもある中央区に隣接して、繁華街に近いエリアでもあります。一方で東西を横切るように流れる一級河川「加勢川」や「緑川」などを中心として、広大な田園に湿地、小さな山林も広がる、豊富な自然にも恵まれています。
また、工業団地や流通団地も形成するほど、製造業・運輸業が発達した区でもあります。JR路線沿いをはじめ、各種商業店舗が点在する便利な市街地もあって、区の北東部には大型ショッピングモール「ゆめタウンはません」も擁しています。こうした緑豊かな環境と買い物などの便利さを両立できるところが魅力です。実際に住んでいる人の感想として、中央区や西区、東区にアクセスしやすいなどの声も聞かれます。
・東区
福岡・鹿児島まで続く九州縦貫自動車道や阿蘇方面に向かう国体道路が走っていて、車での移動が便利な地域でもあります。公共交通機関としては主に市電の健軍線の利用が可能です。
基本的には住宅街が多い区ですが各所にショッピングモールなどもあり、生活の利便性はとても良い地域です。さらに「熊本市動植物園」や「水前寺江津湖公園」といったお出かけスポットがあるほか、「熊本県民総合運動公園」では日常的にさまざまなイベントも開催されています。
熊本市で治安が良くないと言われる地域
さて、これまで見てきたように熊本市は全体的には治安が良く住みやすいところではありますが、犯罪やトラブルが発生している地域もあります。
住む場所に対して、特に安全面を重視して選びたいという希望がある方は、治安が悪い場所についても知りたいのではないかと思います。
ここからは、熊本市の中では犯罪発生率が高く、治安が悪いと言われている地域について紹介していきます。
・中央区
熊本市内で治安が悪いと一般的に言われている地域は、繁華街のある中央区です。
熊本市の中央区は、熊本市の中央部に位置しています。昔の城下町を中心に市街地が発展してきており、城下町の風情と県内最大の商店街が広がるエリアです。熊本県の中心地であり、多くの飲食店や商業施設が集まる繁華街であることから、人通りが多く、それに伴い軽犯罪やトラブルが発生しやすい環境で犯罪が多くなるのも頷けます。
・西区
熊本市の中で一番中央区と比べると、大幅に犯罪認知件数の率が下がりますが、熊本駅の周辺は再開発が進められていて、商業施設も多くにぎやかな地域です。
そのためか熊本駅を擁する西区は2023(令和5)年のデータで、治安が良い熊本市の中で二番目に犯罪率が高めという結果になりました。ただしスポット的にデータ上で一番治安が良い地域になることもあり、流動的な部分もありそうです。
熊本市で犯罪やトラブルに遭わないための対策
熊本市は治安が良く住みやすいエリアではありますが、他の都市と同じように、地域によっては犯罪やトラブルに巻き込まれる可能性が上がる場所もあります。
安全に過ごすためには、犯罪に関する知識を身につけ、適切な対策を講じることが有効になるでしょう。
ここからは、熊本市の環境や地域特性を理解にもとづき、犯罪やトラブルを上手に避けるためにどのような対策を行うことが有効なのかについて考えていきます。
・自転車の盗難対策
熊本市では通勤や通学に自転車を利用する人がとても多く、自転車盗難件数も年間8,400件以上と非常に多くなっています。
その中でも約3割を占めているのが、博多区・中央区・東区であり、該当する地域に住む予定の人は自転車の盗難には十分に注意が必要です。
データによると、自転車盗難の被害に遭ったケースの6割が施錠をしていなかったことが分かっていますので、自転車から離れる際は必ず施錠しましょう。
自転車本体の施錠をしたうえで、柱やフェンスなど動かない場所にチェーンやU字ロックで固定する二重ロックをしておくと、盗難の抑止力になります。
また、一戸建てであれば防犯カメラやセンサーライトの利用、サイクルラックを設置して、チェーン型の鍵をかけるのもおすすめです。
・空き巣被害対策
警察庁の「住まいる防犯110番」のデータによると、2023年(令和5年)における一戸建て住宅の侵入窃盗の認知件数は13,490件。共同住宅の4,889件と比べると、3倍近く多い結果となっています。
一戸建てがなぜ狙われやすいかというと、玄関や窓などの侵入経路が1階にあるので入りやすい上に、出入り口が複数ある場合が多いことが挙げられます。
また、多くの一戸建てはマンションと異なり防犯カメラやオートロックなどの防犯設備がなく、さらにお風呂やトイレの窓を無施錠のまま外出する場合があります。
家づくりをする際には、防犯カメラやセンサーライトを設置したり、すぐに侵入させないための手段として防犯ガラスのサッシを導入するなどの方法も有効です。
ぜひ地域の治安情報をチェックして、危険なエリアや時間帯も把握しておきましょう。
参照:住まいる防犯110番
まとめ
以上、熊本市内で治安の良いエリアと治安があまりよくないと言われているエリアについて見たあとに、対策などもまとめてみました。皆さまのお役に立てていただければ幸いです。