目次
はじめに
人生で一番大きな買い物とも言われ、多くのお金が必要となる住宅の購入では、ほとんどの方が住宅ローンを利用します。
住宅ローンには固定金利と変動金利、固定期間選択型という大きく分けて3つの種類があり、どれを選ぶのかによって、将来のリスクや総支払額が変わってきます。
長引く低金利環境下では、当初の金利が低い変動金利を選ぶ方が大半ですが、日銀の金融政策転換により金利上昇リスクは現実のものとなりつつあります。
金利の動きを予測することは困難なため、大切なのは「どちらが得か」という一か八かの賭けではなく、ご自身の「返済余力」や「性格」に合った選択をすることです。本記事では、単純な金利の比較を超え、それぞれの金利のタイプには特色があって、ライフプランや家計状況に合ったローン選びが大切ではあるが、どれを選べばよいかと迷う方も多いでしょう。
そこでこの記事では、住宅ローンの金利タイプの特徴や家計にあったローンの選び方などを解説します。
住宅ローンの種類
まず前提として、金利とは借りたお金に対して支払う利息(貸借料)の割合のことを指します。
住宅ローンは返済期間も長く、「金利が高い=利息を多く支払う=総支払額も増える」となり、少しでも金利を低く抑えたいと思っている方が多いことでしょう。
住宅ローンには3つの種類がありますので、次にそれぞれのタイプのメリットやデメリットといった特徴を見ていきましょう。
・全期間固定金利型とは
このタイプは住宅ローンを借りている間、金利は最後までずっと一律で固定されています。そのため、返済期間中は月々の返済額も常に一定で変わることがありません。
金利の固定期間は契約内容によってさまざまですが、代表的な固定ローンは「フラット35」で、15年から35年の中から選べます。固定期間が長ければ長いほど、金利は割高になります。
金利上昇によるリスクを気にする必要がないためライフプランが安定し、将来設計がしやすいことが最大の特徴です。
反面、一般的に固定金利は変動金利よりも金利が高く、金利が思ったほど上昇しなかった場合は、結果的に高い金利を払い続けることになります。
以上、全期間固定金利型について内容をまとめますと、次の通りです。
【長所】
・支払額が一定
・返済計画が立てやすい
・将来設計がしやすい
・金利の上昇を気にしなくてよい
【短所】
・金利が高い
・借りられる住宅ローンの金額が変動金利型より少ない
【おすすめの方】
・金利の変動を気にしたくない
・返済期間が長い
・総支払額が高くなっても安定した生活を送りたい
・リスクを避けたい
・変動金利型
その名の通り、金利が変動するのが変動金利型です。金利が変動するたびに、利息の負担や返済額は変わりますが、ほとんどの場合固定金利と比べて金利が低く設定されるのが特徴です。
変動するといっても、株価のように毎日金利が変動するわけではなく、一般的に半年に一度金利の見直しが入ります。そして、その金利の動向に応じて、5年ごとに返済額が見直される仕組みです。
ただし、返済額が一気に上がると家計への影響も大きくなるため、金利が大きく上昇しても、変更後の返済額は、これまでの返済額の1.25倍までという上限が定められています。
ここで注意が必要なのが、金利が急上昇したときに起こりえる「未払い元金」の発生です。
途中で金利が急上昇しても、返済額の見直しは5年ごとなので、5年間は同じ返済額が続きます。しかし返済額はそのままに、利息の負担額は、変更後の金利がすぐに適用されます。
そのため、金利が大幅に上昇すると、元金ではなく利息から優先して返済されることになり、利息ばかりを支払う状態が続いてしまい、一向に元金は減らなくなる場合もあるのです。
それどころか毎月支払うべき利息の金額が返済額を上回り、金利上昇の程度によっては未払い利息も貯まってしまうというリスクがあることも覚えておきましょう。
以上、変動金利についてまとめますと、次の通りです。
【長所】
・金利が低い
・借りられる住宅ローンの金額が固定金利型より高い
【短所】
・将来金利が上がるリスクがある
・生活設計を立てづらい
・未払い元金・利息が発生する可能性がある
【おすすめの方】
・金利上昇リスクを理解できている
・借入金額が少ない
・返済期間が短い
・今後上昇しても借入時の金利を低くしたい
・資金面に余裕があり、金利上昇に対応できる
・固定期間選択型
全期間固定金利型と変動金利の間をとったようなイメージの固定期間選択型。3年、5年、10年というように一定期間金利が固定され、固定期間が長くなるほど金利が高くなるのが普通です。
固定期間が終了した後は、契約したローンの条件次第で変わりますが、その時点の金利で変動金利型に変わるか、再び固定期間を設定しなおすのかを選択する場合もあります。
一般的に、固定期間選択型は全期間固定金利型に比べると支払開始時の金利が低めです。そのため、最初の数年間は支払いが安くなるというメリットがあります。
ただし注意点として、こちらは変動金利型のように、金利上昇に対する返済額の上限ルールが設けられていません。
そのため、金利が上がった分だけ返済額も増えるので、金利が上昇しても返済がかのうかどうかを十分に考えておくことが大切です。
以上、固定期間選択型の内容をまとめますと、次の通りです。
【長所】
・ライフプランに合わせて固定期間を選べる
・固定期間は、全期間固定するよりも低い金利で返済できる
【短所】
・固定期間終了後に金利が上がっている可能性がある
・長期的な生活設計を立てづらい
・返済額の上限がない
【おすすめの方】
・返済期間が短い
・固定期間が終了するまでに収入の増加が見込める
出典:ホームズ
2.金利タイプの選び方のまとめ

「固定金利と変動金利では、どちらを選んだ方がいいのか?」と考える方も多いと思います。固定金利と変動金利はどちらかが得ということはなく、自分に合ったタイプを選ぶことの方が大切です。ここからは、家計やライフプランに適した金利タイプの選び方を解説します。
将来、金利が上昇した場合にも対応可能な余力があり、リスクを知ったうえでもできるだけ低い金利タイプを選びたいと考えるなら「変動金利型」はおすすめできます。
反対に、最終的な総支払額が高くなっても、毎月の返済額が同じのほうが先を見通しやすく、安心して生活できると考えるなら「固定金利型」というように、借入当初の返済額に注目するだけではなく、将来にわたっての返済プランを立てておくことが重要です。
・支払う利息を抑えたい人
毎月の返済額より支払う利息を抑えたい人は、金利の低いローンを選ぶのがポイントです。さらに、返済方法で元金均等返済を選択すれば、元利均等返済に比べて利息分の返済が少なくなります。
・返済期間が長い人・返済金額が多めな人
返済期間が長めの人は、期間が長い分金利上昇リスクにさらされます。また、返済金額が多い人も金利が上昇した場合は影響を受けやすくなります。返済の途中で金利が上昇すると返済額が増え、家計が苦しくなるおそれがあるのです。その場合を想定すると、毎月無理なく返済するためには金利上昇リスクがなく、ライフプランが立てやすい全期間固定金利型のローンの選択が無難です。
固定金利は変動金利より金利が高いものの、現在の水準で固定金利を選んでおけば、金利上昇時には大きなメリットが得られます。
・返済期間が短い人・返済金額が少なめの人
自己資金が多く、ローンの返済期間や返済金額が少ない人は、金利上昇の影響を受けにくいといえるため、固定金利型より金利が低い変動金利型が有力な選択肢となります。ただし、将来の金利上昇が不安であれば、固定金利型を選ぶのもよいでしょう。
出典:伊予銀行
出典:住宅金融支援機構
まとめ
いかがでしたでしょうか。
住宅ローン金利は長らく低金利が続き、変動金利が有利とされてきましたが、今後もそうとはかぎりません。これから住宅を購入するなら、金利だけにとらわれず各家庭のライフプランに最適なローン選びが大切です。それぞれの金利タイプの特色を踏まえ、自分に合ったローンを選びましょう。
特に重要なのは、「金利が上がった時に家計が耐えられるか」という視点です。変動金利を選ぶなら、将来の教育費や老後資金の計画と照らし合わせ、金利上昇に備えた繰上返済や貯蓄の余力を確保しておく必要があります。固定金利は、このリスクへの不安を解消する「保険」の役割を果たします。
万代ホームでは、個別のローン相談も受け付けておりますので、これから注文住宅の建築を検討されている方はぜひご相談ください。