熊本市は九州の中央に位置していて、国内に20ある政令指定都市のひとつです。人口は九州で3番めに多く、市の中心部にある熊本城は日本三大名城にも数えられ、ランドマークともいえる存在です。今回はそんな熊本市で暮らしていく中で、子育て世代のみならず、多くの人が生活のうるおいを感じる要素となるであろう公園についてまとめていきます。
このコラムでは、熊本市に住んでいても意外と知られていない公園についての情報を含め発信できたらと思います。
目次
熊本市の公園事情
熊本市には、実は1,000箇所を超える公園があります。
その中には、さまざまな用途や特色をもった公園が存在しますので、これから熊本市で暮らす皆さんの参考になるよう、厳選した5つの公園をご紹介していきたいと思います。
自然を感じられる公園(水前寺江津湖公園)
江津湖は、熊本市の中心部から南東に約5kmのところに存在する、長さ2.5km、周囲6kmの湖です。その湖水面積は約50haで、「上江津湖」と「下江津湖」の間にくびれを挟んだような『ひょうたん型』をしています。また、人口70万人を超える大都市でこれだけの湖が市街地にあるのは珍しく、貴重な水生生物やカワセミなどの野鳥を見ることもできる、まさに都市の中のビオトープといえます。さらに、実は熊本市では上水道に100%地下水を利用していますが、これは人口50万人以上の都市では世界でも唯一。この地下水は阿蘇からの伏流水がもとになっており、清らかな水が豊富に湧き出る「水の都」といわれることもあります。そんな熊本市の豊かな地下水の象徴ともいえる存在が江津湖なのです。
そしてこの江津湖の周囲をぐるりと取り囲んでいるのが、水前寺江津湖公園です。湖の周囲には遊歩道やサイクリングロードが整備され、芝生が広がる公園もあり、休日になると湧水広場やアスレチックで遊ぶ親子連れなどで賑わいます。また、動植物園も湖に隣接しており、エリア一体が市民の憩いの場や子どもたちの自然学習の場となっています。
出典:水前寺江津湖公園について
歴史のロマンを感じられる自然と風情が豊かな公園(立田自然公園)
歴史好きにおすすめしたいのが、立田山の麓にある、熊本藩主であった細川家の菩提寺の泰勝寺(たいしょうじ)跡です。細川家初代藤孝(ふじたか)夫妻と二代目忠興(ただおき)とガラシャ夫人の墓「四つ御廟(ごびょう)」や、武人でありつつも茶道においては国内随一と誉れが高かった細川忠興の原図に基づき復元された「仰松軒」という茶室などがあります。
茶室「仰松軒」にある手水鉢(ちょうずばち)は、京都で細川忠興が愛用したもので、豊臣秀吉や茶の師・千利休も使ったものであると伝わっています。歴代の藩主は、この手水鉢を参勤交代の道中にも持参してその風情をめでたといわれており、現在でも肥後古流の茶道家元による献茶式や、流派を超えた茶会が催されています。
また、細川忠利(ほそかわただとし)から客分として招かれた宮本武蔵(みやもとむさし)の墓もあるといわれています。宮本武蔵の墓は全国に5か所あるといわれ、そのうちの3か所は、正保2年(1645)に生涯を終えるまで晩年を過ごした熊本にありますが、その一つが、この立田自然公園内の泰勝寺(たいしょうじ)跡にあります。
なお、余談ですが二つ目は、大津街道(旧国道57号沿い)にある「武蔵塚」。「細川公参勤の節には御行列を地下にて拝し、御武運を護らん」(細川公の参勤交代をかげから拝し、護りたい)という武蔵の遺言に従って、甲冑を着け太刀を持った姿で埋葬されているといわれています。「新免武蔵居士石塔」と読める苔むした墓石が建っており、現在では武蔵の銅像が建つ「武蔵塚公園」となっています。三つ目は、市内西部の島崎町にある「西の武蔵塚」です。今でもどの説が正しいのかは謎で、歴史好きにとっては想像力を搔き立てられる場所といえますね。
風情がある豊かな緑に囲まれたこの公園は、昭和30年(1955)に細川家から熊本市に貸与されていて、それ以後立田自然公園として一般に公開されています。北岡自然公園の妙解寺(みょうげじ)跡とともに、「熊本藩主細川家墓所」として国の史跡に指定されていますので、歴史好きにはたまらない公園でしょう。
出典:立田自然公園
子ども向けの遊具がある公園(坪井川緑地・ひごっこジャングル)
坪井川緑地は坪井川の治水用の遊水地で、野球場、テニスコートといったスポーツ施設のほか、芝生や多目的広場が充実している広々とした緑地です。
平成20年(2008)に完成した超大型の児童遊具施設「ひごっこジャングル」が絶大な人気を誇っており、週末になればたくさんの子どもたちで賑わいます。
熊本城の石垣をイメージした展望デッキをはじめ、全長30mのローラー滑り台など、150以上のアイテムが組み合わされた超巨大遊具は圧巻そのもの。幼児向けアスレチックも充実しており、安全に思いっきり遊ぶことができる場所です。
公園は綺麗なのはもちろん、トイレや施設内も清潔で周りには柵もあるので、安心して利用できるという利用者の声もあります。
なお、利用できる時間帯などを下記にまとめてみましたのでご参考までに。
・ひごっこジャングル
8:30~18:00(4月~9月)
8:30~17:00(10月~3月)
・有料施設
6:00~22:00(3/1~10/15)
7:00~22:00(10/16~2/29)
・休日
ひごっこジャングル…第2・第4月曜日。*祝祭日の場合、翌日休み。12/29~1/3。その他天候により休みの場合があります。
・有料施設 12/29~1/3
駐車場 有 (軽・小型車・普通車対応)
出典:熊本市
水について学べる湧水スポットの公園(八景水谷公園)

八景水谷公園は、第5代肥後藩主細川綱利公によって開かれた公園で、八景水谷水源があります。豊富な湧水量を誇り、大正13年(1924年)、熊本市の上水道が敷設されてからはその水源として利用されています。
また、公園には200本のソメイヨシノが植えられ、お花見スポットでもあります。周辺には豊かな水に育まれた水生動物が数多く生きづいており、公園内にある「水の科学館」は、熊本の地下水と水道を中心に、水について学ぶ事ができる施設で、水関係の資料や本が揃い、ビデオなどで学習できる設備も整っています。
出典:八景水谷公園
バーベキュー、ドッグランなどレジャーが楽しめる公園(石神山公園)
金峰山の東側の裾野にある石神山公園は、周辺に豊かな緑と釣耕園(ちょうこうえん)、叢桂園(そうけいえん)、三賢堂(さんけんどう)等の歴史的施設が数多く残り、市街地にも近い場所にあります。
また、バーベキュー広場やドッグランなど他の公園にはない施設もたくさんあり、展望所からは市内を一望することができます。天空広場には日時計が設置してあり、自然を通して時間を知るという体験もすることができます。
自然の中の様々な施設で、憩いの場としてレジャーを楽しめる魅力的な公園です。
なお、バーベキューの申込み方法等を下記にまとめましたので、ご参考までにどうぞ。
・申し込み方法
石神山公園管理事務所にて申請書( エクセル 公園行為許可申請書(バーベキュー用) )に記入し、使用料を支払います。
※電話による石神山公園管理事務所への事前予約がおすすめです。
※悪天候等でバーベキュー場が利用できない場合があるので、天候が悪い際は、石神山公園管理事務所まで事前に連絡すると安心です。
・利用可能時間
4月~9月:11:00~17:00
10月~3月:11:00~16:00
利用料金は1区画、1日あたり1,000円(大人10人程度が利用できるスペースです)
出典:石神山公園
まとめ
ご紹介した公園は、いずれも特色があり魅力的なところでした。
とくに、筆者としては公園が位置している場所の特性が公園の特色に反映されている点が興味深く感じました。
水前寺江津湖公園は教育に力を入れている東区らしく、学習イベントなども盛んのようです。
また、立田自然公園は、落ち着いた周囲の環境ともマッチした風情を感じる場所ですし、坪井川緑地・ひごっこジャングル、八景水谷公園がある北区は、のびのびと子どもを育てたい子育て世帯に人気なのも納得です。
それに、金峰山のふもとの豊かな自然を感じられる石神山公園では、自然の中で休日のレクレーションを楽しむことができます。
注文住宅を建てる際には、このような地域のカラーに注目してみるのもよさそうですね。