熊本市の気候
・気温と降雨
熊本市では、夏は暑く、蒸し暑く、ほぼ曇り、冬は非常に寒く、ほぼ晴れ、年間を通じて湿度が高い場所です。 1 年を通して、気温は 2°Cから 32°Cに変化しますが、-2°C 未満または 35°C を超えることは少ないです。
一番暑い時期は6月下旬から9月下旬ごろまでの3か月間で、この時期は平均気温が27℃を超えます。一方で、冷涼な季節は12月上旬から 3月上旬まで約3か月続き、1 日当たりの平均最高気温は 14°C 未満です。
また、降雨が多い時期は熊本市では6月上旬から9月上旬までの3か月間であり、一番暑い時期と一致していますね。雨量についてみてみると、熊本市で最も降雨が多くなる月は 6月であり、平均降雨量は 356 ミリメートル。最も降雨が少ない月は 1月であり、平均降雨量は 52 ミリメートルとなります。このデータから、熊本市では雨が降る時期は集中して、たくさん降ることが読み取れると思います。
・地形と気候が熊本市にもたらす影響
熊本市は九州の中央付近に位置しています。
九州山地に海からの温かい湿った空気が当たり、それによって発生した上昇気流で局地的な大雨になると、水が白川や緑川などに流れ込むので河川の氾濫が起こりやすくなります。阿蘇方面で雨が大量に降ることで、下流の熊本市内で河川が氾濫してしまうというパターンの災害は過去にも何度か起こっていることです。
また、九州は台風の通り道にもなりやすいですから、水害による被害を比較的受けやすい地域ともいえるでしょう。
海に面した部分もありますので、沿岸部では高潮や津波にも注意が必要です。
熊本市で注意すべき水害の種類とは?
種類1.内水氾濫
熊本市のハザードマップには内水氾濫の記載はありませんが、土地が低いエリアや河川の沿岸地域も注意しておいたほうがよいでしょう。熊本市では内水浸水想定区域図も発表されていますので合わせてみておく事をお勧めいたします。
種類2.洪水(外水氾濫)
洪水は河川などの水が堤防を越えたり、決壊したりして流れ出すことで発生する氾濫のことです。洪水の原因としては大雨や台風による河川の増水、堤防の決壊などがあり、洪水が起きやすい平野部や低地に広範囲の被害を及ぼすことが多いのが特徴です。
洪水は上流部での豪雨が下流に影響を与えることも多く、先述の「地形と気候が熊本市にもたらす影響」でも触れたように、実際に熊本市の周辺では過去に河川上流の阿蘇での降水が洪水を引き起こすタイプの洪水が数回起きています。
熊本市のハザードマップを見てみるとかなりの広範囲で洪水の被害エリアが想定されていることが分かりますので、ぜひ一度確認してみましょう。
種類3.高潮
高潮は、台風や発達した低気圧などに伴って、気圧が下がり海面が上昇する作用と強風により海水が海岸に吹き寄せられる作用のせいで、海面が異常に上がってしまう自然現象です。熊本市では海岸から坪井川・白川・緑川に沿って江津湖付近までの広範囲で高潮の可能性が示唆されています。
種類4.津波
北は坪井川河口の周辺、南は緑川河口を含む海岸付近の広範囲で0.5m ~3m、3m~5mなどの津波の可能性が示唆されています。
なお、熊本市の大西市長が、津波の到達までに安全な場所に逃げることが難しい「津波避難困難地域」を2025年度内に抽出し、安全に避難してもらうための場所や経路を設定する考えを示しています。今後これらの情報もチェックしておきたいですね。
種類5.台風
台風は水害と同時に風害も伴います。
平成3年に九州に上陸した台風19号のように、最大瞬間風速が約50m/秒を記録したものもあります。これは時速換算すると90km〜110km/時であり、いかに威力が強いのかイメージしやすいのではないでしょうか。 台風が接近・通過しているときは危険ですから、むやみに外出することなく自宅や安全な場所で待機するようにしましょう。
出典:熊本市ハザードマップ
出典:熊本市内水浸水想定区域図
出典:熊本日日新聞
出典:九州地方整備局
熊本市の注文住宅で考えられる水害対策

熊本は近年の豪雨や台風などで大きな水害被害を受けることが多く、住宅の水害対策が非常に重要となっています。
そのため、熊本市で新たに注文住宅を建てる際には、水害に強い住宅を意識しておくに越したことはありません。
そのため、ここからは押さえておくとよいと考えられるポイントをいくつかご紹介しましょう。
水害に備え高さが上がっている土地を選ぶ
これは土地探しがまだこれからという段階ではとても有効です。
もし河川から距離があっても、土地が低ければ上記の熊本県で考えておくべき水害の種類とは?で述べた水害が起きる可能性が増えます。「盛り土」という方法で土地の高さを上げる方法もありますが、これは盛り土そのものの施工費用のほか地盤補強費用も高額になる、盛り土を行うことで周囲の排水状況が悪化するケースがある、地震のさい崩れるかもしれないというリスクもあります。
以上のことから、盛り土を導入するさいは、メリットとデメリットをよく検討しておきましょう。
水害に備え河川や海から離れた土地を選ぶ
これも土地選びがまだという段階ではとても有効ですね。
台風や集中豪雨による洪水の被害を受けるのはやはり海や河川のそばにある住宅が多いので、海・河川から離れている場所を選んで家を建てると水害からの安心感が増します。高さが十分な堤防が作られている地域であれば氾濫の被害を受ける可能性は低くなると思いますが、中には近年の集中豪雨で堤防が決壊したケースもありますので注意は必要です
ハザードマップで水害のリスクを確認する
これはどのような土地を選んだ場合にも共通して大切なことかもしれませんが、熊本市が公開しているハザードマップを確認することもおすすめです。
こちらを確認しておくと、自分が建てる注文住宅はどの程度水害のリスクがある場所にあるのかを事前に確認しておくことができるからです。
水害に備え注文住宅の基礎を高くする
高基礎にすると水害時に床下への浸水を防ぐことができるので、注文住宅が水害に強くなります。過去に浸水被害を受けた場所では、この対策は有効です。
水害に備え注文住宅の外壁に防水性の高い材料を用いる
耐水性が高い素材を使用することで、建物内部への水の侵入を防ぐのに役立ちます。
万一の水害時に生活ができるように注文住宅をつくる
例えば2階建てにしておいて、水害時に避難できないようなときは2階で生活できるようにしておくというのもその一つです。せっかく注文住宅を建てるのですから、もしもの場合のアイデアをさりげなく盛り込んでみるのも一つの手段といえるかもしれません。
注文住宅の水害対策は火災保険に頼れる場合もある
火災保険によっては、特約で水災補償を付けられることがあります。水災害で補償を受けられるのは、台風や暴風雨による洪水と土砂崩れ・地滑り、河川の氾濫、そして高潮や津波です。補償の対象は基本的には建物となり、家財補償を付ければ家具や家電、衣類なども補償されます。
水災補償があれば、洪水で床上浸水した場合なども畳・床の張り替えを補償でカバーできますので、水害の多い地域に注文住宅を建てるのでしたら、火災保険に水災補償を付けておくのもおすすめですよ。
凹凸を減らしてシンプルな形の家にする
台風は強力な風を伴うので、住宅には強い負荷がかかります。
建物の形が「シンプルな四角形」であれば、4方向の壁に均一に力がかかるため、風にへの抵抗力ができます。
一方で複雑な形の住宅になるほど、バランスが崩れて一部の壁や柱に負荷がかかりますので、シンプルな外観にすることがおすすめです。
以上、熊本市で注文住宅を検討しているとどうしても気になる、気候特性による災害とその対策についてできることをまとめてみました。
少しでもお役に立てたら幸いです。